2007年01月13日

吉田新田物語11・・・掘割川まとめ

吉田新田の産みの親とも言う吉田勘兵衛(8代目)さんと分家、吉田常次郎さんの最後の大仕事、堀割川掘削、中村弥八ガ谷戸の切り割りの経緯はこの辺で終りにします。吉田新田物語11・・・掘割川まとめ

そもそも、この大工事の計画は次のようなものでした。①既存の中村川2830m(高砂町から吉浜町まで)を幅27mに掘り広げる②中村弥八ガ谷戸の山地を37m切り下げる③滝頭村海面へ540mの埠頭を築く④根岸の埠頭から弥八ガ谷戸を通り中村川合流点までの2622mに幅27mの新川(堀割川)を開削する⑤上記の工事残土で南一ツ目沼約23.1ha(7万坪)を埋め立てる⑥全ての工事は晴雨に係わらず18ヶ月で完成させる。というものでした。
吉田新田物語11・・・掘割川まとめしかし、工事計画は、予想外の難工事となり、重ねて豪雨や土砂運搬場所が離れていたこと、土地所有者との確執などが重なり、工事費用も莫大となり、遂に分家の吉田常次郎さんは破産をしてしまうに至りました。

さて、このようにして埋め立てられた「南一ツ目沼」ですが、必ずしも必要悪の邪魔な存在ではなかったようです。防潮堤が切られて潮が浸入したり、洪水の逃げ水、民家の下水、そして、人々が魚蝦を獲る場でもありました。ここの埋め立ての最中に洪水が起きて、伊勢佐木町近辺が床上浸水をして、社会問題になったこともあったようです。
吉田新田物語11・・・掘割川まとめまた、この沼地は底なし沼とまで言われるごとく、大量の土砂が投入され、沼で犠牲になる工夫も多く居たようです。ともあれ、こうした難工事で予定工期18ヶ月をはるかにオーバーして3年後にやっと完成を見た訳ですが、またまた政府の横暴で、一ツ目沼の角地、今の吉浜町付近6千坪を勝手に囲い込み、横浜製鉄所の用地にしてしまいました。これには、吉田家の人々もがっかりしたでしょうね。
さて、この沼地埋め立てに投入された土砂の量は約71万㎥、東京ドームに換算すると【東京ドーム天井から床までの空間が東京ドームに換算してと良く言われますが、それが124万㎥】約半分ですが、工事にかかわった延べ人数は何と177万人におよびます。

こうして埋め立てられた「南一ツ目沼」ですが、今は一部が全国3大ドヤ(簡易宿泊所)街のひとつ、寿町、松影町となっていますが、その辺に至った経緯は横浜港港湾労働史に譲ることとします。しかし、堀割川掘削の土砂を一ツ目沼に投入した訳ですが、今ではそのドヤ街付近でホームレスをしている人が、堀割川沿岸の私の職場に流れて来る事実を考えますと、浅からぬ因縁を感じてしまいますイカリ

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Posted by shin344 at 14:39│Comments(2)歴史
この記事へのコメント
吉田新田に関して Scemoさんより詳しい方がいらっしゃるのかと思うほど 詳細まで勉強されて、 広く浅くばっかりの私は 本当に尊敬というか感心してしまいました。
こういう歴史があってこそ、今の私達のいる環境があるので 偶然なんかじゃないんですよね~。 
事細かく 教えてくださってありがとうございます。
Posted by Ziggy at 2007年01月13日 19:03
☆Ziggyさん。お誉め頂いてありがとうございます。
本当にそうですよね。私は「温故知新」という言葉が
好きなんですが、歴史によって積み重ねられた上に
私たちがいる事は確かですよね。例えば沖縄では
どんな歴史の流れがあったのか、明治維新の頃の
アメリカの南北戦争によって、相棒様のご先祖に
どのような事があったのかなどと考えますと、偶然と
いうより必然という言葉の方があてはまりますよね。
Posted by scemo3440 at 2007年01月13日 19:41
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